2025前期-6『百人一首和歌始衣裳』を読む


京伝が蔦屋から出した百人一首のパロディ集

 江戸時代にはパロディが流行していました。パロディには多くの読者に共通する知識が必要です。それが何を材料にしていて、どう変えているのか。そこにおかしみが生まれます。その共通知識として京伝は『百人一首』を選びました。それを歌舞伎や浄瑠璃、当時の世相などを混ぜ込んで、江戸時代独特の笑いを創っていきました。この中に使われているパロディからは今でも語られる落語の母体になったものも存在します。
 この本を出版したのは蔦屋重三郎でした。蔦屋は京伝のみならず、その元にいた曲亭馬琴や上方から下って来た十返舎一九、式亭三馬などの作家たちを育て、歌麿、北斎、写楽といった、今では日本美術を代表する浮世絵師たちを世に出した本屋です。
 京伝の作品を読みながら、江戸中後期の出版界についても触れていきたいと思っています。
 春期講座では前半部を読みます。

【日程】全5回 いずれも13:00~14:30

第1回 4月22日(火) 序文・家持
第2回 5月13日(火) 喜撰・陽成院
第3回 5月27日(火) 業平・伊勢・
第4回 6月10日(火) 素性・三条右大臣
第5回 6月24日(火) 春道列樹・恵慶

【教室】

未定(決まり次第、更新します)

【用意するもの】

特になし。適時、プリントを配布します。

【受講料】

5,000円

【講師】

内田 保廣

Uchida Yasuhiro

共立女子大学名誉教授

1946年生まれ。2017年まで共立女子大学文芸学部に在職。江戸文学、メディア概論、情報処理など担当。慶應義塾大学卒・大学院博士課程中退。文学修士。中央公論社文芸雑誌『海』にコラム「文学史こぼればなし」を共同で連載。大和書房から同名で出版(共著)。国立劇場パンフレットに「歌舞伎のお宝」共同連載。

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